龍王
りゅうおう

 
容姿・特徴 美しい衣をまとい身長4000mの竜そのもの、またはコブラ。
その場合、功徳の行いによって足と頭の数が違うとも。
また甲冑を来た人間で後頭部に龍の印がついている。
出典 仏典 中国伝承
解説  仏教を守護する天部八部衆に属する。
天部八部衆とはヒンドゥー教の神々が仏教に帰依したもの。竜王の場合はナーガラージャである。彼らは、仏性を持たず欲望を捨てられないため解脱(仏教においての究極の目的)をすることができず人間よりも劣っているといわれる。
竜王の煩悩は如意宝珠と呼ばれる珠に集約されており、如意宝珠を使えば竜の物欲はすべて満たされてしまうので竜はその珠を手放すことができない。そして永遠に欲望から離れられず悟ることができない。
高僧から説法を聞こうとしても、人を傷つけてしまう宿命をもつ竜王は無作法な方法でしか聞けないのだ。
 竜王は主に「三患」と呼ばれる3つの苦しみを持っている。
1 心のおごりのため、いつも天から熱風と熱砂が体に打ち付け苦しむを味わう。
2 邪なモノや魔物と出会うと、仏陀から与えられた人間の姿も法衣も失い、本性を現してしまう。
3 金翅鳥(迦楼羅・ガルーダ)と呼ばれる鳥人に遭遇したら抵抗する事も無く食い殺されなければならない。
 竜は生前煩悩を捨てきれず罪を犯した者が転生した姿であった。
 竜王たちの住処は地下や水底にあり、俗に「竜宮」と呼ばれている(正式には「戯楽」)
縦横の長さが約1300キロメートルもある巨大な城で宝で飾られた美しく輝く城郭、五色の花が咲き乱れる庭があり心地よい場所の代名詞とされている。
流れる水が多くのものを運んでくるので宝物庫は、古今東西の珍しい宝物が山のように積み上げられている。竜王はこの宝物を大切にしておりその執着心が解脱を阻んでいるのだが、それに気づいていても断ち切ることができない。
 竜王は三万八千いるといわれ、その中でも八大竜王や倶梨伽羅竜王などが有名である。主に雨乞いの祈祷で呼ばれる事が多い。日本では空海などの高僧が召還した記録が残っている。
 有名なのが空海と守敏の「降雨祈願法力争い」である。この時、守敏は八大竜王を瓶の中に封じ込め空海の雨乞いを邪魔しようとする。しかしそれを知った空海は、インドの善女竜王を導き無事に雨を降らしたという。
日本の雨乞いでは八大竜王のサガラ(裟伽羅)竜王がよく奉られる。
中国の場合は中国の四方の海を護る四海竜王がおり、この竜王は封神演義などの小説によく登場する。
参考文献 幻獣ドラゴン(新紀元社)

文責 : 真鶴
イラスト : ポポイ丸