バハムート
Bahamut

 
容姿・特徴 光り輝く巨大な魚、頭部は牡牛に似ているという。
出典 イスラムの伝承 『千一夜物語』496夜(マルドリュス版では362夜)
解説  千一夜物語「蛇の女王の話」の章で、天使がイスラエルの王子ブルーキーヤーに語る巨大魚。強い光りを放ち、通り過ぎるのに3日かかるほどの大きさだという。
全ての大地は7つの層に別れており、それを天使が支えている。アッラーは天使の下に、巨岩を作り、その下に雄牛を作り、その下にバハムートを作り、さらにその下に海を作ったという。
 ある時、イーサー(イエス)がアッラーにバハムートを見ることを許された。天使に海原に連れて行かれたイーサーは、海原に目を凝らしたが、何も見ることが出来なかった。その時、たまたま、バハムートが電光のごとく、イーサーの前を通り過ぎた、それを目にしたイーサーは、気を失った倒れてしまった。正気に戻ったイーサーにアッラーは、バハムートを見ることが出来たかと尋ねた。イーサーは、巨魚は見ることが出来なかったが、通り過ぎるのに3日かかるほどの巨大な牡牛を見たと答えた。実は、それがバハムートだったのだ。
 アッラーは、このような巨大魚を毎日40匹ずつ創り出しているという。
また、バハムートがいる海原の下には、広大な虚空があり、その下には7層(6層の説もあり)の地獄がある。その下に、ファラクという大蛇を創ったという。
 聖書に登場する怪物ビヒーモスから派生したものという説もある。「エノク書」よるとビヒーモスは、リヴァイアサンの雄であるとされている。また、後世の「タルムード」には、ビヒーモスがリヴァイアサンを殺すと書かれており、これらの記述から、世界を守り支える巨大な怪物の伝説ができたのではないかと思われる。
 また、バフォメットの秘密の名前であるという説もある。
参考文献 アラビアン・ナイト11(平凡社) 幻獣事典(晶文社)

文責 : さゆら
イラスト : らさ丸