アスピドケロン
Aspidochelon
容姿・特徴
島のように巨大な鯨あるいは亀
出典
「フィシオロゴス」
解説
アスピドデロン、アスピドケローネ、ファスティトカロンとも呼ばれる。
「フィシオロゴス」という、ギリシャ語・ラテン語などで記された動物物語集に現れる。
島のように巨大で砂よりも重く石のようにに硬い皮膚を持つ。海上に浮かんでいると島のように見えるという。
無知な船乗りたちは島だと思ってこの怪物に船をつなぎ、テントを張って火をおこす。すると、火の熱さに驚いたアスピドケロンは、潮を吹いて海底に潜り船を沈めてしまう。
また、良い香りを出して、魚をおびき寄せて食べてしまうという説もあり、誘惑に釣られると酷い目に会うという教訓的な意味も付されている。
古代ギリシャでは「アスピドケリドネ」と呼ばれ、大亀であったようだが、後に鯨に変わっていった。
「千一夜物語」のシンドバードの物語、中世のキリスト教の伝説である聖ブレンダン伝説等にも同様の説話が見られる。ミルトンの「失楽園」では、リヴァイアサンとして登場している。
参考文献
幻獣事典(晶文社) 動物誌と動物譚(平凡社) 世界の怪物・神獣事典(原書房)
文責 : さゆら
イラスト : Kou Takano