ファーヴニル
Fafnir

 
容姿・特徴 足が生えた大蛇のような姿。毒を持っている。
出典 北欧の叙事詩
解説 北欧の叙事詩に登場する竜。英雄ジークフリート(シグルド)に退治される。ワーグナーの歌劇「ニーベルゲンの指輪」に登場する事でも有名。

ファーヴニルは元々は小人であった。ある時ファーヴニルの父親が財宝を手に入れた。その財宝には、宝の元の所有者である小人アンドヴァリ、そしてロキやオーディンといった神々の呪いが掛かっていたが、ファーヴニルは財宝に目が眩み父を殺して財宝を洞窟に隠した。
しかし隠すだけでは不安だったファーヴニルは自らに魔法をかけて竜となり、洞窟で財宝を見張るようになった。

そのファーヴニルにも財宝の呪いは災いを運ぶ。ファーヴニルが追放した弟レギンが、弟子であるジークフリートにファーヴニルを殺させた。
ジークフリートはファーヴニルと死闘を繰り広げるが、ファーヴニルは自らの死を悟りジークフリートがレギンの差し金である事を知ると、最期に呪われた財宝は必ず死をもたらすと警告し死んだ。

ファーヴニルの心臓には、それを食べると鳥や獣の声が理解できるという不思議な力があった。
それを知っていたレギンはジークフリートに心臓を焼くように命じ、自分は焼けるまで眠る事にした。
ジークフリートは焼けているかどうか確かめるため心臓の一片を食べた。そして鳥から心臓の不思議な力やレギンが財宝を独り占めしようとしている事を知ると、心臓を全て食べてレギンを殺して財宝を手に入れた。

心臓の他にも、ファーヴニルの血も特殊な効果を持っており、血を浴びたジークフリートは剣をも通さぬ強靭な体を手に入れた。
だが、木の葉が張り付き血を浴びなかった両肩の間は生身のままの弱点になった。数年後、ジークフリートは裏切られ、この弱点を剣で突かれる。
英雄ジークフリートも財宝の呪いには抗えず、ファーヴニルの警告通り財宝の呪いで命を落とした。
参考文献 幻獣ドラゴン(新紀元社) 北欧神話物語(青土社)

文責 : 白蓮
イラスト : ねこじま ふみ