バジリスク
Basilisk

 
容姿・特徴 体長約30cmほどで、頭頂部に王冠のような鮮やかな白い紋様がある蛇。 または、同程度の体長の、頭にトサカを生やした蜥蜴。
出典 ヨーロッパ民間伝承など
解説  ギリシャ語で『小さな王』を意味するバジリスカルが語源と言われる伝説上の蛇。
 紀元前1世紀に書かれた、プリニウス著の『博物誌』によれば、アフリカのキレナイカ地方に生息するトカゲで、鳴き声を聞いただけで全ての蛇が逃げ出すと言われている。
 また、他の蛇とは異なり尺取虫のように移動するといわれる。バジリスクの呼吸により、周辺の草木は全て枯れ果て、荒野になるととされ、馬上からバジリスクをやりで刺し殺した騎士が、槍を伝わった毒によって殺され、さらに騎乗した馬まで息絶えたという伝承が残る。
 中世になるとさらに毒の威力は強まり、上空を飛ぶ鳥までも落とし、バジリスクが水の飲んだ河は毒に汚染され、周辺は砂漠になるとまで言われた。
 トカゲ型は、中世ヨーロッパの頃から伝えられ、その後、ピエール・ルガーの説などによって、雄鶏が産んだ卵をヒキガエルが温めると生まれるといった伝説が生まれたとされる。
 バジリスクは何者をも寄せ付けない最強のモンスターとなったが、三つだけ怖れる物があった。一つは雄鶏の鳴き声で、これを聞くとバジリスクは瞬時に命を落とすと言われている。二つ目は鏡や反射する物といわれ、ギリシャ神話のメドゥーサのように邪視の力を持つとされたバジリスクは、自分の視線によって息絶えるとされた。さらに三つ目は、プリニウスの博物誌でも書かれている『イタチ』である。バジリスクに触れて唯一生きながらえるのはイタチであるといわれている。理由は、イタチはバジリスクの毒にも枯れないヘンルーダと言う薬草を持っているからだとされている。
 ちなみに、バジリスクはハーブの『バジル』の語源にもなっている。
参考文献 プリニウスの博物誌(雄山閣出版) 龍のファンタジー(東洋書林)

文責 : 骨龍
イラスト : R+