タラスクス
Tarasque

 
容姿・特徴 ライオンの頭、剣のように鋭い牙、馬の鬣、甲羅のようになっている背中に砥いだ斧のような突起、全身の鱗は逆立つとキリの先のようにとがり、熊のような爪のある足が六本、尾は蛇の形。馬や牡牛より少し大きいほどの体長。一説によるとアルマジロを模しているとも言われるが、図版などにはその痕跡はあまり無い。
出典 黄金伝説第100章「聖マルタ」
解説 フランス、タラスコンの街に今でも伝わる怪物。タラスコン城の側を流れるローヌ川の、流れの渦巻く淵の中の洞窟に住み、川を渡る船を転覆させたり人をとって食う。また、川の氾濫を起こすのもこの怪物であった。甲羅があるため騎士の剣は通じず、毒の息を吐き、また母親ボナコンの性質を継いで糞が発火性であったため、人々は退治することもできずに困っていた。 マグダラのマリアを守るため、聖女マルタ(Marthe)(黄金伝説ではマルティラ)が、人を食べた後で大人しくなっているタラスクに聖水を降り掛け、十字架をかざして力を奪い、更に帯で縛り街へと連れ帰った。その後、タラスクは人々の手によって(あるいは勇者の槍によって)殺された。
リバイアサンとボナコン(一説によればボナコンでなくロバ)の子供であるが、両親ほど狂暴な怪物ではない。また、近年まで恐竜の頭骨の化石が、タラスクスの頭蓋骨としてAix-en-Provenceの街の近くで展示されていた。
サントマルト参事会教会(EGLISE SAINTE MARTHE)に、この伝説と聖女マルトの墓が伝わっている。また、タラスコンの街では、聖霊降臨祭にこの怪物の姿を模した練りものが、今でも祭りの一大イベントとして引き回される。
一説によると原型は、出生は同じリバイアサンとボナコンの子であるティラスクルスであると言われる。
参考文献 幻獣ドラゴン 世界未確認生物辞典 フランス政府観光局

文責 : ARES
イラスト : GW