ゲオルギウスの竜
St,George's Dragon

 
容姿・特徴 巨大で翼があり、うずまき状の長い尾とワニのような黄緑色をした鱗を持っている醜悪なドラゴン。しばしば、翼に白と黒で描かれた蛇の目の紋をもつ姿で描かれる。
出典 キリスト教聖人伝
解説  紀元三世紀の頃、アフリカのリビアにいたと言われるドラゴン。キリスト教圏では非常に有名で、また代表的なドラゴンの一つと言われる。
 このドラゴンはシレーネの湿地帯から姿を現し、悪臭を放つ有毒の蒸気を噴き出して農民を殺し、作物を枯らしたという。シレーネの王は民と土地を守る為に、日に二頭の羊を渡す事を約束させられたがすぐに羊は尽き、仕方なく王はドラゴンの命令に従って日に1人の子供を差し出すようになった。
 しかし、シレーネの王の娘が生贄になる日、そこに元ローマの騎士であり、キリスト教に改宗して伝道活動を行っていたゲオルギウスが馬に乗って現れ、改宗と引き換えにドラゴンを倒す約束をした。
 ゲオルギウスは悪魔の化身であるドラゴンを槍で突き刺し退治すると、シレーネの人は約束どおり改宗し、ゲオルギウスは立ち去ったと言われている。
 このドラゴンは悪魔の化身とされ、キリストの使者に倒される事によって、善が悪に勝つという明確な構図を表している。
 ゲオルギウスはこの後、中世の十字軍によりイングランドの守護聖人となった。
参考文献 龍のファンタジー(東洋書林)

文責 : 骨龍
イラスト : 綺祥 斎華