イピリヤ
Ipiria

 
容姿・特徴 髪と髭のある虹色の巨大なヤモリ。
出典 アボリジニの伝承
解説 オーストラリアのヌマリカ沼に住んでいるとされるヤモリの精霊。
虹色に輝く巨大な体を持っており、頭には人間のような頭髪、そして上唇には髭が生えている。
普段はヌマリカの水の中にその体を横たえている。そのイピリヤの水場は誰にとってもタブーで、そこで水を飲んだ人間は死ななければならず、また乾季がいつまでも続くという場合もある。

イピリヤは乾季の終わりに沼の周囲の草を沢山食べ、水を沢山飲む。それから、その草と水の混合物を空高く吹き上げるとたちまち大きな雨雲ができる。そのすぐ後に黒い雷雲が発生して雨が地上に降り注ぐと、イピリヤの咆哮が雷となって空を轟き渡り、雨の作り主イピリヤが自分の仕事に満足した事を人々に知らせる。その後イピリヤは再び沼の底で次の乾季が終わり、また雨季を呼ぶべき時が来るのを待つ。

ヤモリの姿をしているイピリヤだが、その色は虹色で沼に住み雷雨を呼ぶなど虹蛇と同様の性質を持ち、雨季を呼ぶ尊い精霊としてアボリジニのイングラ族に崇拝されていた。
参考文献 幻獣ドラゴン(新紀元社) オーストラリアの民話(株式会社ぎょうせい)

文責 : 白蓮
イラスト : 龍の孫