赤いドラゴン
RedDragon

 
容姿・特徴 赤い竜。ウェールズの象徴
出典 ケルトの伝承
解説 ウェールズの象徴とされる赤い竜。白いドラゴンと戦う。この二匹の戦いは数々の物語に残っている。

ウェールズ王は、サクソン人の侵略を防ぐために、要塞を建てようとしていた。しかし、土台を建てようとすると必ず石組みが崩壊してしまった。
そこで、アーサー王の助言者であり魔法使いであるマーリンが呼び理由を聞く事にした。
マーリンは「理由を知りたければ地下を掘ってみよ」と言い、王が言われたとおりに地下を掘ると泉が出てきた。
その泉の中にあった石の箱をあけると、中から遠い昔に封じられた赤いドラゴンと白いドラゴンが現れ、二匹はたちまち戦いを始めた。
マーリンは、この二匹の戦いはイノシシが現れるまで続き、最後には赤いドラゴンが勝利すると予言した。

長きの間、ケルトとゲルマンは赤い竜と白い竜で象徴されていた。
ケルトの建国伝承では、この赤いドラゴンはかつて大地が出来た頃に、地震や災厄を起こしていた黒い竜を打ち倒し、ケルトの地に平和をもたらしたとされる。

赤いドラゴンというモチーフは、古くはローマ帝国時代まで遡る。ローマ帝国が小アジアへ遠征した際に旗に描かれた竜を見て、自らの軍旗に赤いドラゴンを使用したらしい。
ウェールズを象徴する赤いドラゴンの姿は現在でも様々な部分で息づいている。しかし最初の英国旗が制定された時、既にウェールズはイングランドに併合されてしまっていたために、英国旗にかつてのウェールズ旗のデザインが採用される事は無く、現在の英国旗に赤いドラゴンの姿は見る事はできない。
旗としては、赤い色は「血」を、ドラゴンの姿は「独立」を現しているという。
参考文献 ドラゴン(新紀元社) 他

文責 : 白蓮
イラスト : GW