ラハブ
Rahab
容姿・特徴
水でできた大蛇
出典
アッカド神話
解説
ラハム、ラカムなどとも表記される。「嵐」「傲慢」「凶悪」といった意味の名を持つ海の怪物である。
アッカド神話によると、ラハブはティアマトが生み出した11匹の怪物の1匹に数えられている。
ラハブとその兄弟はティアマトの命令でマルドゥク神と戦い、そして敗れ、縄で縛られ洞窟に閉じ込められた後にマルドゥクに殺されてしまう。
ユダヤの伝承では元は天使だったが神によって海に投げ捨てられたとされており、海に住むラハブは神に命じられ、行方不明になった「天使ラジエルの書」を海から探し出し返した。
「混沌」を意味する怪物で、世界が創造される以前から存在していて、神はラハブを二つに裂いて天の水と地の水を作り、ラハブは海を支配するようになったとも。
堕天使としてのラハブは「原始の海の支配者」と呼ばれエジプトの守護者となるが、最期には神に滅ぼされる。
また、「旧約聖書」の「ヨブ記」第26章第12節にも海の怪物としてその名は登場し、エホヴァによって打ち殺されている。
聖書に登場するラハブはエジプト王国の象徴とも言われている。
キリスト教では天使とされる事もあり、天地創造の際に、世界中の水を飲み世界を置く陸を作るよう神に命じられたがそれを拒否したがために殺されてしまう。
オリエントのラハブは荒海の恐ろしさや強さの象徴の怪物だとされているものの、その姿に関する記述や絵は残っておらず、竜かどうかは定かではない。
しかし、オリエントの人々が海や水の災害や恐ろしさを竜として表していた事、「旧約聖書」においてレヴィヤタンと同じく海の怪物として登場している事から、恐らくは竜、またはそれに近いものとして考える事ができる。
参考文献
幻獣ドラゴン(新紀元社) 天使(新紀元社)
文責 : 白蓮
イラスト : くに