ヨルムンガンド
Jormungand

 
容姿・特徴 世界(ミッドガルド(人間界)を取り巻く毒蛇。世界蛇。自分の尾を咥える形で海の底に横たわる。
出典 北欧神話、ゲルマン神話
解説 名前の意味は「大地の杖」。イェルムンガンド、ミドガルズオルム(Midgardsormr「ミッドガルド蛇」)などとも呼ばれる。
巨人族でありアース神であるロキと、女巨人アングルボザの息子で、フェンリルとヘルの兄弟。
元はアースガルド(アース神の国)に居たものの、ノルン(運命の三女神)の予言により彼等兄弟が神々に災いをもたらすだろうと知った神々は彼等をアースガルドから追放した。
ヨルムンガンドはオーディンの手によりミッドガルドの海に投げ込まれ、そのまま巨大に成長し世界を取り巻く大蛇となった。

このヨルムンガンドは、三度に渡り雷神トールと対峙している。海に横たわるヨルムンガンドは、トールに釣り上げられて退治されそうになるが、釣り上げられたヨルムンガンドの姿に怯えた巨人のヒュミルが、釣り糸を切ってしまったために退治は失敗に終わった。
また別な話では、魔法で大きな猫に見せかけられたヨルムンガルドをトールが持ち上げている。その時ヨルムンガンドの背は天を掠めるほどだった。
最期は、ラグナロク(「神々の運命」世界の終末)でトールと再び戦い、そして相討ちになって倒れる。
ヨルムンガンドはその巨大な体をもたげ海から上がり大地を抉りながら進み、それを迎え撃ったトールと戦った。
戦いの末にヨルムンガンドはトールの槌に頭を潰され、トールはヨルムンガンドの毒により九歩退いた後に倒れ死んだ。

「自らの尾を咥える蛇」のモチーフは多く存在し、ヨルムンガンドもその一つである。
ちなみに一部の写本の挿絵では完全な蛇の姿ではなく、耳のような物や足に見えるものなどが生えた姿で描かれるなど、その時代には竜と蛇の境界線は曖昧だったようにも取る事が出来る。
参考文献 幻獣ドラゴン(新紀元社) 北欧神話物語(青土社) ゲルマン神話(大修館書店)

文責 : 白蓮
イラスト : 三年 冬眠