ユルルングル
Yurlunggur

 
容姿・特徴 虹蛇。赤銅色に輝く大蛇。
出典 アボリジニの伝承
解説 オーストラリアのアボリジニに伝わる虹蛇の中でも、最も高位な指導者的存在だった虹蛇。銅蛇、ミルリルミナ蛇(水場の名前に由来)とも呼ばれる。
自らの同族で「妹」に当たる人間の姉妹と赤ん坊を飲むという禁忌を犯し、他の虹蛇の怒りを買い地位を無くしてしまう。

ある日、ドリームタイムの世界に住む姉妹の姉が経血でユルルングルの泉を過って汚してしまった。それを知ったユルルングルは怒り、暴風雨や洪水を呼んだ。
暴風雨で虹蛇の怒りを知った姉妹は泉へ行き、怒りを宥めるために儀式の歌を歌う。この歌を聴いたユルルンググルは、魔法で姉妹と赤ん坊を眠らせると三人を飲み込んでしまう。
そうして夜になるとユルルングルは姉妹を腹に収めたまま歌を歌い、洪水を消して大地を乾燥させた。

後に、虹蛇たちの会議があった。指導者であったユルルングルは、他の虹蛇達の氏族と名前と言語を尋ね、「言葉は一緒の方が良いがそうはいかない。だから儀式だけでも一緒にやろう」と提案し、皆で歌を歌った。その声は雷となり海と陸に響き渡った。
そして今度は、皆に何を食べたのかと尋ねた。皆が何を食べたか言い終えると、二番目に力の強いウェッセル島蛇が、ユルルングルに何を食べたのかと尋ねた。
ユルルングルは嘘をつくが、ウェッセル島蛇はユルルングルが起こした暴風雨を聞いていたため、何があったのかとしつこく追求する。
ユルルングルは恥ずかしくなったが、ウェッセル島蛇の催促に折れ、ついに人間の姉妹と赤ん坊を食べたと告白した。
それを聞いた虹蛇達に非難されたユルルングルは一度、蟻塚に姉妹を吐き出したが、それをマンデルブイ島蛇に見られてしまい、二度目の嘘は通じず追放されてしまった。

ユルルングルは、ワウィラクの国へ行き姉妹を吐き出し、赤ん坊だけは腹に残し自分の故郷へ帰って行った。
姉妹は石になっており、その石は今もなおワウィラクの国に残っているという。
参考文献 幻獣ドラゴン(新紀元社) オーストラリアの民話(株式会社ぎょうせい)

文責 : 白蓮
イラスト : 朱雀