ヒュドラ
Hydra
容姿・特徴
九つの首の毒蛇(首の数は5〜100まで色々な説がある)
出典
ギリシャ神話
解説
テュポンとエキドナの間に生まれた怪物のうちの一匹。その名前はギリシャ語で「水蛇」を表す。
真ん中に位置する首だけは不死身で、他の首は斬りおとされると二本の新しい首が生えてくる。
古代ギリシャの都市アルゴスのそばのレルネーという沼地の泉・アミュモーネー棲み、夜な夜な泉から這い出てはアルゴス近くの旅人や家畜を襲った。
ヒュドラはヘラクレスと戦った事でも知られる。
ヘラクレスは沼の周りで炎を焚き、熱に耐えかねて出てきたヒュドラに掴みかかる。勿論ヒュドラは締め上げ毒を噴き戦うものの、ヘラクレスの纏うネメアのライオン(ヒュドラと同じくテュポンとエキドナの子)の皮には通用しなかった。斬り落としても生えてくる首には、従者イオラオスに命じて切り口を松明で焼く事で生えてくる事を防いだ。
そして最後に残った不死の首は地中深くに埋められ、逃げ出さぬように岩で押さえつけられた。
こうしてヒュドラはヘラクレスによって退治された。
ヒュドラの毒は猛毒で、その吐息や体から滲む粘液に含まれる毒に触れると、全身を腐らせ神ですら死に至らしめる。
毒は水や土地、空気までも浸食し、レルネーを水源としていたアルゴスの人々は、ヘラクレスによりヒュドラが退治されるまで苦しんでいた。
また、ヒュドラの毒が塗られた矢に誤って当たってしまったケンタウルスの賢者・ケイロンはその毒の苦しみから不死の力を手放し死を選んだ。
そして、ヒュドラを倒したヘラクレスも後に策略に嵌り、ヒュドラの毒の苦しみにより肉体を手放している。
それほどまでにヒュドラの毒は強力なものなのだ。
参考文献
幻獣ドラゴン(新紀元社) 絵画のなかの動物たち(美術出版社)
文責 : 白蓮
イラスト : U-KI