枳首蛇
ししゅだ

 
容姿・特徴 大きさは小指くらいで、長さは30センチくらい。背中に錦の模様があり、腹は鮮やかな赤。両方に頭があるように見える。
出典 「本草綱目」、「論衡」、「嶺表録異」など
解説  別名、越王蛇、越王約髪、越王弩弓、両頭蛇。
 中国の百科事典『本草綱目』等によると、中国の越王の弓の弦が化したもの、スッポンが牛の血を食べて化したもの、また、越王の髪を束ねたものが化したなど諸説ある。見るとよくないことが起こるとされているが、嶺外(広東省からベトナム北部周辺)ではよく目撃されるので気にする者はいないという。前にも後ろにも進むことが出来ると言うが、それは嘘であるらしい。
 また、中国の説話集『論衡』という本には次のような話が載っている。
 楚の大臣孫が子供の時、両頭の蛇を見たので、殺して土に埋め母親のもとに泣いて帰った。母がわけを聞くと、「両頭蛇を見たものは死ぬと聞いているが、母と別れて死ぬのが恐ろしくて泣いているのです」と答えた。母が、今その蛇はどこにいるのかと尋ねると、孫は、「他の人が見るといけないので殺して埋めた」と言ったので、母は「いい行いをしたものには、天が必ず褒美を与えてくれるので、大丈夫ですよ」と言った。その後、孫は死なずに楚の大臣になった。
参考文献 和漢三才図会7(平凡社) 中国神話伝説大事典(大修館)

文責 : さゆら
イラスト : G.River