野槌
のづち

 
容姿・特徴 大きいもので直径5寸(約15センチ)長さ3尺(約90センチ)。頭・尾は均等で尾は尖っていないので、柄のない槌に似ている。
目鼻手足が無く口だけの蛇。
出典 「和漢三才図会」「沙石集」日本の伝承
解説 日本各地の山間部に目撃例があり、ツチノコ、コロ、ドコ、バチヘビ等の異名がある。
野槌とはもともと、草木の神、草祖草野姫(鹿屋野比売)のことであり、草木の神が凋落してヘビに転じたものであると考えられる。
普通のヘビのようにうねって進むのではなく、体を丸めて転がるように走るとか、跳躍するなどといわれている。坂道を上るのが苦手なので、もし襲われたときは坂を上って逃げればよいといわれる。
また江戸時代の仏教説話集『沙石集』には、ある学生が死んで、目鼻手足も無く大きな口だけの人を喰らう怪物「野槌」に化したという話が残されている。
参考文献 鳥山石燕画図百鬼夜行(国書刊行会) 和漢三才図会7(平凡社) 図説・日本未確認生物事典(柏美術出版)

文責 : さゆら
イラスト : Blackie