タクシャカ
Taksaka

 
容姿・特徴 巨大なコブラ。(頭は一つらしい)
出典 インド神話 マハーバーラタなど
解説  沈黙の行を行っていた聖者に代わり、復讐を果したナーガラジャ。狩猟好きの王パリクシットが、森で狩りをしているとき、獲物がどちらに行ったかを沈黙の行を行っていた聖者に尋ねたが、返答がなかった。沈黙の行を行っている事を知らない王は激怒して、聖者の首に蛇の死骸を巻きつけて侮辱した。
 聖者自身はそれをなんとも思っていなかったが、聖者の息子は激怒して、『今から七日以内にタクシャカに噛み殺されてしまえ』と呪いをかけた。それを聞いた王は、湖上に城を作り中に閉じこもったが、最期の七日目の夜に、苦行僧が持ってきた果実に虫に変化したタクシャカは紛れ込み、首尾よく王を噛み殺したと言う。
 しかし、タクシャカ自身はこの呪いを成就させた事により、王の息子であったジャナメージャヤに恨まれ、この息子が成人した後、父を殺した蛇を皆殺しにするため犠牲祭を執り行い、魔術を用いて蛇を焼き殺していった。
 この様子に心を痛めたヴァースキが仲裁を息子であるバラモン、アースティーカに頼むが、彼が会いに行っても王の息子は会おうとはしなかった。
 結果、王の息子がインドラの元で匿われていたタクシャカを、インドラもろとも火に落とそうとしたため、インドラが慌ててタクシャカを手放し、タクシャカは火の中へ落ち始める。しかしそれに安心した王が、アースティーカに会い、望みの物を何でも与えると言ったため、彼は、『犠牲祭の中止』を求め、王の息子はタクシャカを追い詰めながらもその命を奪う事は出来なかった。
参考文献 ヒンドゥー教の神々(せりか書房)

文責 : 骨龍
イラスト : 酒屋カモメ