カドモスの大蛇
A large snake of Cadmos

 
容姿・特徴 金色の鱗に包まれ、頭には鷲の嘴のようなトサカを持ち、三叉の舌と、三重に生える巨大な牙を持ち、短い足の先には獅子の爪を持つ。
出典 ギリシア神話
解説  英雄カドモスの物語に出てくる泉を守る竜。
 英雄カドモスが、アテナとアポロンの神の力を借りて新天地にやってくると、一刻も早く神に供物を捧げる為に家来に泉を探させた。しかし、探し当てた泉にはこのドラゴンがいて、家来は全て食い殺されてしまう。その様子を見たカドモスは、アテナの名を叫びながら投槍を撃ち、それが刺さって狂ったように暴れまわるドラゴンと戦った。ドラゴンは毒息や炎を吐きカドモスを苦しめるが、アテナの加護を得た彼は自らの槍で、ドラゴンの上顎を大木に縫いとめて殺した。
 その後、カドモスは殺したドラゴンの牙を神託に従って大地に蒔くと、そこから兵士が生まれ、互いに殺しあった結果、最後に残った五人がカドモスの新たな家来となり、新都市『テーバイ』を築いたと言われている。
 しかしこのドラゴンは、軍神であるアレスの保護を受けた竜だったために、カドモスはこの後アレスの呪いを受けることになる。
参考文献 ギリシア神話小事典(教養文庫) 世界神話伝説体系(名著普及会)

文責 : 骨龍
イラスト : hayakawa