ヴィーヴル
Vouivre

 
容姿・特徴 赤い宝石の目と翼を持つ蛇の姿。または半人半蛇の女。
出典 民間伝承
解説 語源はラテン語の「マムシ」(Vipera)。ギーヴル、メジュリーヌの仲間とされる。
普段は地の底に住んでいるが、地上に出て人を襲って食べてしまう事もある。
フランシュ・コンテ地方においては、無人の塔の主塔に住んでおり、オルジュレの城から出てエオルの泉に水を飲みに行くのが見られたという。

ヴィーヴルの目(または額)にはルビーやガーネットといった宝石がはまっていて(角の先端に宝石が飾ってあるとも)光るその目で暗闇も自由に飛びまわった。
しかし、水を飲んだり水浴びをする時は宝石が濡れないように外して川岸に置く習慣があったので、この隙に目を奪われて盲目になってしまうという事もあった。宝石を奪った者は世界一の権力者になれるが、盲目になったヴィーヴルは悲嘆と絶望のうちに死んでしまう。

女性の姿をした妖精として伝えられているヴィーヴルは美しい女性の姿をしており、蝙蝠の翼と猛禽の足、蛇の尾をもち、額の割れ目に宝石を持っている。
このヴィーヴルの宝石は幸運のお守りと言われ、魔法使い達は自分の魔法にそれを使おうと欲しがった。
宝石を奪われたヴィーヴルは奪ったものの言う事を聞かなければいけないとか、もしくは死んでしまうと言われている。そのため、ヴィーヴルは自分の岩穴に他の宝と一緒に宝石を隠した。

ヴィーヴルに雄は存在せず、雌だけとされている。
竜のヴィーヴルが住む場所は人間が寄り付かず土地が豊かになる事や、妖精ヴィーヴルが女性の姿をしている事は、彼女等がかつて地母神として信仰されていた名残だろうか。

メリュジーヌの仲間とされているが、ヴィーヴルは人を喰う、財宝を隠すなど竜の性質が強く、メリュジーヌとは全く違った性質を見せている。
参考文献 幻獣ドラゴン(新紀元社) 世界の龍の話(三弥井書店)

文責 : 白蓮
イラスト : 小雀