ヴァースキ
Vasuki

 
容姿・特徴 巨大亀の上に乗った山に絡みつき、両端を神々に引かれている大蛇
出典 インド神話 マハーバーラタなど
解説  インド最大の叙事詩、マハーバーラタに出てくる竜王。神々の物語の一つ、『乳海攪拌』の中に登場する。
 太古の昔、神々が須弥山(メール山)に集まり不死の薬『アムリタ』を作ろうとしたとき、ヴィシュヌはアナンタに攪拌棒にする為に、大地からマンダラ山引き抜いて持ってこさせ、それを亀の王、アクーパーラの背に乗せると、ヴァースキをマンダラ山に巻きつかせ、両端を神々とアスラ族(悪魔)で持って、交互に引いて乳海をかき混ぜた。
ヴァースキはこの時、あまりの苦しさに、炎や毒煙を吐いたと言われている。しかしこの毒は、シヴァ神が全て飲み込むことで、世界を守ったと言われる。
また、世界に大洪水が起こった時、ヴィシュヌは化身「マツヤ」となって、ただ一人の人間「マヌ」を助けた。この時、マヌの乗る船を引くために、船とマツヤを繋いだものが、ヴァースキだとも言われている。
 ナーガラジャでありながら、神々の道具として使われることの多い、ある意味可哀想な蛇の王である。
参考文献 ヒンドゥー教の神々(せりか書房) インド神話(東京書房)

文責 : 骨龍
イラスト : 岳人