イルルヤンカシュ
Illyankas

 
容姿・特徴 恐らく巨大な蛇
出典 ヒットタイト神話
解説 ルヤンカスとも記される。海を支配するといわれた凶暴な竜。
他のヒットタイト・オリエントの神話に登場する竜達と同じく荒海や水害を例えている。
人々は水害を防ぐ祈祷の中にイルルヤンカシュ退治の物語を盛り込んで捧げる事で、竜に無益な災害を起こさぬようにと願った。

イルルヤンカシュは嵐神プルリヤシュと仲が悪く常に争っていた。
イルルヤンカシュは一度は嵐神の眼と心臓を奪い勝利するが、嵐神が女神イナラシュに依頼して酒を用意し儀式を行い、酒に酔いつぶれたイルルヤンカシュを嵐神が退治してしまう。
一説にはこの竜退治の物語が、インド・中国を経て日本に伝わり八俣大蛇の伝承の元になったとされている。

また、眼と心臓を奪われた嵐神が、自分の息子をイルルヤンカシュの娘と結婚させて取り戻すという話もある。
この話では、嵐神は心臓と眼を取り戻し竜退治に成功するが、嵐神の息子は自分の妻を見捨てる事ができずに竜の住処に残りイルルヤンカシュもろとも殺されてしまう。
参考文献 ドラゴン(新紀元社)

文責 : 白蓮
イラスト : スミヒト