アナンタ
Ananta
容姿・特徴
千の頭を持つコブラ(絵では9か7の頭を持つ)
出典
インド神話 リグ=ヴェーダ
解説
『永遠』・『無限』を意味する名前を冠された、最も偉大なナーガの王。
このナーガの王は、原初にして最期のナーガと言われる。インド神話の世界観では、ブラフマン(梵天)が世界を創世し、ヴィシュヌがそれを維持、そして2400万年経つと、破壊神であるシヴァが世界を消滅させるとなっている。その消滅後の世界に、ヴィシュヌと共に生き残るのがアナンタと言われている。アナンタは世界が復活するまで眠りに付き、ヴィシュヌ神をその背に乗せて、千の首でヴィシュヌを包み込んだまま、乳海を漂い続けると言われている。そして、創世の夢を見るヴィシュヌの臍からブラフマンが現れ、世界を再び創世するとなっている。
また、インドの古典の一つ『マハーバーラタ』では、アナンタはヴィシュヌの化身の一つであるクリシュナの兄、バララーマに化身している。
このような事から、アナンタは不死の存在であり、ヴィシュヌの従者的な要素を持っていると考える事が出来る。
そしてさらに、世界の再生と破壊という一つのサイクルを見守る存在である事から、ただのドラゴンの一種、ナーガ族の1人と考えるよりも、『尾を加える蛇』あるいは『世界蛇』と呼ばれる種類の竜にその存在は近いと思われる。
また、同じく最高位のナーガラジャであり、ナーガの世界である地下世界『パーターラ』のさらに下で、大地を支える『シェーシャ』と同一視される事もある。
参考文献
ヒンドゥー教の神々(せりか書房) インド神話(東京書房)
文責 : 骨龍
イラスト : 岳人