メリュジーヌ
Melusine

 
容姿・特徴 上半身が美女、下半身が大蛇。蝙蝠の翼を持つ場合もある。
出典 民間伝承・文学作品など
解説 民間伝承や文学作品に登場するフランスの妖精。
主にポワトゥ地方に出現したという。これはメリュジーヌがポワトゥの貴族、リュジニャン家と密接な結びつきを持っている事に由来する。
その名は「リュジニャン家の母」の意。彼女は美しい心の持ち主で不思議な能力を持ち、リュジニャン家の人々はメリュジーヌの末裔だとされそれを誇りとしていた。
キリスト教化された伝承のメリュジーヌは信心深いキリスト教徒で、祈りを捧げたり教会を建設したりした。彼女はポワトゥ地方の多くの城塞や教会の建設者だという。

有名な伝承は以下である。
水浴びしていた彼女を人間の男(レモンダン・ド・リュジニャン)が見つけ一目惚れし結婚し、メリュジーヌは彼に富と権力を与える事を約束した。
結婚は幸福で、子供も儲けた(だが、妖精と人間の間に生まれた子供たちはみな異様な容姿だった)しかし、彼女は土曜日ごとに姿を消してしまう。
メリュジーヌは居なくなる自分を探さないように言っていたが、次第にメジュリーヌに疑いを持った男はメリュジーヌを探しに行き、そして下半身が蛇という姿で水浴びをしている彼女を目撃してしまった。
男は深く後悔するものの、本当の姿を見られてしまったメリュジーヌは男の前から姿を消した。
それ以来、リュジニャン家の領主が死んだり王位が奪われる三日前になると、どこからともなく女の悲鳴がきこえるようになった。
それはメリュジーヌが自分の子孫の不幸を嘆いているのだという。 これは「人間の男が妖精を娶り、妖精は人間に富をもたらす」という妖精伝承によく見られるエピソードの流れを組んでいる事がわかる。

伝承の他にも、ジュアン・ダラスの「メリュジーヌ物語」、クルドレットの韻文「メリュジーヌ」など文学作品にも登場する。メリュジーヌが文学の歴史に現れたのは1400年頃である。
参考文献 幻獣ドラゴン(新紀元社) メリュジーヌ 蛇女=両性具有の神話(大修館書店)

文責 : 白蓮
イラスト : 白籠