ケクロプス
Cecrops

 
容姿・特徴 上半身は、黒髪で黒い顎鬚を生やした角を持つ男性、下半身は巨大な蛇
出典 ギリシア神話
解説  アテネがまだ、アッティカ(あるいはケクロピア)と呼ばれていた時代の王。半人半蛇という異常な姿をした人物だったと伝えられている。彼はエジプトから出てきて、この都市を築いたと言われているが、別の伝説では土から生まれたと言われている。
 この人物が登場する神話は非常に少ないが、有名な物が一つ残っている。それは、アテネとポセイドンがケクロピアの領有を巡って争った事件の話である。
 ある時、ポセイドンがケクロピアに現れて、『自分を守護神として祀れ』と命じると、同じくケクロピアを狙っていたアテナが現れて同じ命令を下した。それを知った大神ゼウスは、オリュンポスの会議で協議し、その結果二人の神に『その都市に最も相応しい贈り物をした方に守護する権利を与える』と言った。
 それを聞いたポセイドンは、海の波飛沫から馬を、アテネは大地からオリーブを創造し、ケクロプスの市民に与えたが、市民がオリーブを選んだ為に、ケクロプスはアテナを選んだと言われている。
 また、この王は大変知恵深く、信仰深い人物だったとも伝えられ、ゼウスに対する人の生贄を辞めさせ大麦で作った菓子に変えたり、人口を数える為に市民に1人一つずつ貢物として石を持ってくるようにと命じ、それを数えて人口を把握したなどと伝えられている。
参考文献 ギリシア神話小事典(教養文庫) 世界神話伝説体系(名著普及会)

文責 : 骨龍
イラスト : スミヒト